浦添グスクでイワサキクサゼミを確認。
サトウキビやススキなどに付く体長が2 cm弱の日本最小のセミ、イワサキクサゼミは、沖縄本島においてはこれまで南城市の佐敷・知念・玉城でのみ分布記録されていたが、チョイ数年前から浦添でも鳴き声が聞けるようになったようだ。ぼくも浦添グスクの東端で本種の生息を確認できた。
「ジー」と鳴く声が崖際のススキ群落の辺りから聞こえていた。それで近づいてみると、そこに植え込まれている観葉植物のクロトンの葉に1頭が止まっていた。さらに周辺のススキの中からもう1頭の鳴き声がしていた。南部ほどたくさんは発生していないみたい。
不思議なことに沖縄本島における本種の発生は、記録されてから何十年もずーっと南部の一部地域に限られ、中北部では見られない特異な分布を示してきた。また、分布地の連続したサトウキビ畑の中でさえも高密度から急にゼロになる状況であった。その理由は未だに解明されていないが、現在のところそれは、各個体が捕食者から逃れるために局所的に集まり高密度化したと推測する「エスケープ仮設」が有力である。