クロイワニイニイ

見事な雲隠れの術。どこにいるかな?
4月27日に浦添グスクで鳴き声らしきものを聞いたときはその存在をかなり疑った。そのセミを見かけなくなってずいぶんと久しいからだ。那覇近郊ではほとんど絶滅しかけた昆虫であり、浦添にはもう居ないものだと思っていた。間もなくするとその声は聞こえなくなったので何かの間違いなのだと納得していたのだが…。5月9日に行ってみると再び同じ鳴き声が聞こえた。それもかなり近くに。耳に手を当ててパラボラアンテナの如く、ぐるぐると身をよじり方向を探った。目の前にいると思われるのだがなかなか見つけきれない。うーんと鳴き声の中心を凝視すると「おぉっ」と心に感動が広がる。「クロイワニイニイ」である。体色を樹皮に似せてその存在を消していたのだ。
子供のころホントにどこにでもいた普通種の代表とも言えたセミだ。中北部ではまだ顕在だが(それでも昔に比べるとかなり減った感じがする)、那覇市を中心にその近郊ではほとんど消滅している。ぼくが浦添市内で確認したのは20年ぶりくらい。

いやぁ、久しぶりっ!
気持の良い感動の余韻に浸るのはいいとしても、ふと気付くと、この1頭だけで他に仲間は見当たらなかったのが心配になった。やはり、浦添市内では絶滅危惧種扱いにしなければならないのであろうか。しばらく通って様子を見てみようと思っている。