タイワンスジオ

特定外来生物のタイワンスジオ

特定外来生物のタイワンスジオ

尾の背面に一本筋があることからその名が付いています。


成長すると2.5mを超える大きなヘビです。沖縄本島で繁殖しています。


写真の個体は沖縄本島中部で捕らえられたものです。沖縄県環境衛生研究所で撮らせてもらいました。


噂では1970年代末に嘉手納基地内外で飼われていたものが逃げ出したのではないかと言われています。しかし、その侵入経緯は、人為的ということ以外はまったく分っていません。


このヘビの生態の顕著な特徴は何と言っても食に対する貪欲さです。狙ったネズミや小鳥を執拗に追いかけまわして捕らえます。環境衛生研究所の研究員の話しによると、獲物を捕らえても目の前に別の獲物が現れたら最初の獲物を胴体で締めたまま次の獲物を追いかけるそうです。まさに食えるだけ食ってしまおうとする大食漢です。


もし、タイワンスジオがやんばるに侵入した場合、そこに生息するヤンバルクイナやノグチゲラ、ケナガネズミなど固有生物の生存が脅かされる脅威はジャワマングースの比ではないでしょう。マングース除けのフェンスは楽々乗り越えるし、ちょっとした隙間があれば容易にすり抜けてしまいます。這いまわるスピードはハブと比較にならないほど速く、木登りは得意中の得意ときています。


いま最も懸念されているのはその分布域の拡大です。やはり恐れているのは人の関与です。貨物車やトラックなどの積み荷に紛れて運ばれてしまうことです。生息が確認されているところの貨物車両の荷の積み下ろしは慎重なチェックが重要になってきます。


しかし、道路網が整備され物流が発展したこの島においてこのような生物の分布拡大をコントロールすることはかなり厳しいのです。おそらく50-60年後には既にやんばるに侵入していてヤンバルクイナなど貴重な生物は絶滅していることが推測されます。


現在、環境省でタイワンスジオの分布調査をしているところです。その結果がとても気になります。